第7回キャリアコンサルタント学科試験 ゆるい解説3

受験前は養成講座等で紹介された参考図書を買って読んだりもしましたが、受験が終わって「養成講座テキストとWebにある情報だけで、十分合格できるじゃない?」と感じました。そんなコンセプトの対策ページです。


問21-正答3

人事制度は職能資格制度、職務(役割)等級制度などなど、頭がこんがらがります。試験対策としてはまず、日本の伝統的な人事制度(いわゆる年功序列)としての職能資格制度の特徴を抑えて置けば良いと思います。

選択肢1、2、4はそのまま覚えるとして、選択肢3は「職位は部長、課長、係長等の役職ランクであり、資格は職務遂行能力を難易度に応じて区分したものである」が正しい。

人事制度関連で試験に出るものとしては以下のページによくまとまっていて、良くわかり過ぎるくらいに理解できると思います。



問22-正答2【ややむずかしい】

労働経済の分析は頻出です。引用は「概要版」ではなくて「全体版」からの記述が多いですが、全体版はページ数が多いのすべてを確認する時間はないと思います。また、第1部「労働経済の推移と特徴」は毎年同じですが、第2部以降は年によってテーマが異なり、第2部以降のテーマから出題された場合、以後の試験で再び出題される確率はだいぶ少ないと判断できると思います。この問は平成28年度版の第3部(章)からの出題なので、選択肢の範囲でざっと趨勢を抑えておく程度の勉強で良いと思います。

選択肢1~2005年27.6%→2015年29.9%なので、上昇傾向で推移でOK(P.133)。2~非正規の割合は女性の方が高く、非正規の雇用者数は男性の方が多い(P.137)。3・4~逆に男女とも最も減少したのは農林漁業従事者(P.211,214)。ページ数は挙げておきましたが、出典元を確認する必要はないと思います。



問23-正答4

働く女性の実情から出題されることはあまりなく、労働経済の分析などの過去問をものにできていれば、対応できるようになると思います。なので、この問題も選択肢の記述の範囲で引用元を確認しておく程度で良いと思います。

選択肢1~60~64歳の労働力率は58.1%で、2割以下に低下するのは65歳以上の17.6%(P.4)。選択肢2~労働力率が最も高いのは25~29歳の92.4%だが、雇用者数が最も多いのは男女とも45~49歳(P.4,12)。選択肢3~平成20~25年は未婚女性が増えたことが労働力率を上昇させる効果があったが、平成26年~30年ではほとんど変化効果が見られず、有配偶者の労働力率の変化が要因であることが確認できる(P.5)。選択肢4~グラフによりM字カーブの底が小さくなっているのが確認できる(P.4)。

平成30年版働く女性の実情pdf



問24-正答2

障害者雇用に関してはたびたび出題されますが、「障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)」が引用された出題は他になかったと思います。出典元の確認は選択肢の範囲で行えばいいと思います。

選択肢1~15年連続で過去最高を更新(P.2)。選択肢2~身体障害者は 346千人(対前年比3.8%増)、知的障害者121千人(7.9%増)、精神障害者は67千人(34.7%増)(P.2)。選択肢3~(P.2)。選択肢4~平成30年版だと一部でそうといえない箇所があるが概ねOK(P.2)。



問25-正答4【ややむずかしい】

法令、社会保険制度に関して幅広い知識が求められ、比較的選択肢4が選びやすかったとは言え、なかなか難しい問題です。この問題の選択肢の記述の範囲で覚えておきましょう。
選択肢1〜以下のpdfリンクのQ12にあります。前半部分が正しいのですが、転換された際の雇用条件は「企業によるので一概には言えない」としながらも、「直前の労働契約と同一の条件」となるという記述があります。
選択肢2〜国民年金は原則20歳から60歳まで被保険者となり、厚生年金保険は70歳までが被保険者となる(日本年金機構のHP)。
選択肢3〜労働者には過失がないので、保険給付がされた上で、事業主から遡って徴収される(厚労省のHP)。
選択肢4〜障害者の雇用の促進等に関する法律第43条の2に記載があります(厚労省の参考資料pdfのP.2)。


問26ー正答2【ややむずかしい】

各選択肢の記述をそのまま覚えるような形で覚えておけば良いかと思います。選択肢2は「使用者が支障がないと判断」が誤りで、正しくは「医師が支障がないと判断」。


問27ー正答2【ややむずかしい】

厚生労働省パンフレット「派遣で働くみなさまへ(pdf)」の出題箇所を確認しておきましょう。ただし労働者派遣法のこの内容は平成27年改正のもので、その後平成30年に再び改正されていることから、今後出題される可能性は低いと思われます。
選択肢1〜(P.2)派遣終了後の雇用継続のために①派遣元での無期雇用、②派遣先への直接雇用の依頼、③新たな派遣先の提供、④その他安定した雇用を継続するための措置のいずれかを取らなければならない(派遣元の義務)。選択肢2〜(P.2)。選択肢3〜(P.3)「派遣期間が3年を超える場合」が正しい。選択肢4〜(P.3)60歳以上の派遣労働者と派遣元で無期雇用されている労働者は、期間制限(3年)のルールは対象外。


問28ー正答4【むずかしい】

たまに出題される交流分析の問題。適切なものを数を答える問題ですべて正しいと回答するのは、分かっていても勇気が要ります。加えて4つ目の「心的エネルギーの分配状況」と、あまり見ない表現が使われているのでなおさらです。養成講座テキストはアセスメントの章のエゴグラムの項に掲載されているが、それよりも以下のサイトの方がわかりやすいです。
問30で出題の脚本分析やゲームパターン分析などの解説のあるので2〜3回読んで、理解しておきたい。


問29-正答4【むずかしい】

だいたい不適切な選択肢は出典元の文章の一部を改変して、違う意味の文章にしていますが、この問の選択肢はオリジナルな文章のように思います。いずれの選択肢も正誤の判断がつけにくい非常に難しい問題だと言えます。
選択肢1〜キャリアの責任の所在が組織から個人に移行する環境は1990年代以降のことで、パーソンズの時代(20世紀初頭)ではない。
選択肢2〜「階層的な専門職と官僚的な組織の中で」の意味が掴みづらいですが、内容的にシャインのキャリア・コーンを思わせる記述で、ホランドではない。
選択肢3〜以下のサイトで、スーパーの職業的発達段階を確認しても、「個人が環境に適合した役割を演じる」という趣旨は見あたらない。またホランドの理論とも違うようです。

わが国職業紹介・職業指導の系譜 ―その過去、現在、未来― 第8回 | 職業・雇用関係情報等 | 一般財団法人 日本職業協会

これまで述べた職業選択理論、構造理論などは、ある時点に焦点をあてて、個人の職業選択を規定する要因やメカニズムを明らかにしようとする理論である。これに対して職業的発達理論は、職業選択や適応を長期にわたるプロセスとして理解しようとする。すなわち、ある時点での選択は、それまでその個人が生涯において行われてきたさまざまな意志決定の結果であり、かつ、それは次の選択に影響を及ぼす一つの意志決定になる。それゆえ、この理論では、選択の要因よりもその課程に焦点をあてる。 職業的発達理論は、1950年代にギンズバーク(Ginzberg,E.)、ミラーとフォーム(Miller, D.C. & Form,W.H.)、スーパー(Super,D.E.)などによって提唱され、その後多くの学者等によって継承されてきた。職業選択には、長い年月を通じての発達過程が見られることに着目し、これを理論化したのはギンズバーグ(Ginzberg,E.ら 1951)であると言われる。 彼は、経済学、精神医学、社会学、心理学からなる学際チームにより、青年期の在学生を対象とした職業選択に関する面接調査を実施し、その結果に基づき、職業選択に発達的な特徴が見られるとして、次の3点を指摘した。① 職業選択は、一般に10年以上もかかる発達的プロセスである。② 職業選択のプロセスは非可逆的である。一度ある特定の選択を行うと、後から変更しにくいものである。③ そのプロセスは、個人の欲求とその障害となる現実との妥協をもって終わる。そして職業選択には、次の3つの発達段階がある。空想期(生後~11歳)、試行期(11~17歳)、現実期(17歳~20歳台初期)。ギンズバークらは、その後の継続的な研究により、次の3つの命題(1972)を提示している。① 職業選択のプロセスは、成人前期で終わるわけではない。労働生涯の全期間を通じて存在しうる。② 職業選択の非可逆性は、当初考えていたより強いものではない。③ 当初用いた「妥協」という言葉は、「最適化」と置き換える。(1)スーパーの12の命題スーパーは、もともとギンズバーグの研究チームの一員であった。ギンズバーグが精神分析的自我の機能を中心に職業選択の発達過程を説明しようとしたのに対して、スーパーは、個人と環境との相互作用を重視する現象論的自己論の立場で独自の職業的発達理論を構築した。 スーパーら

shokugyo-kyokai.or.jp

選択肢4〜「個人がいかにして転職を伴うような」という記述が判断を難しくさせている。定番の書籍やWebを探しても、この選択肢の「転職を乗り越える」ニュアンスの記述でサビカスのキャリア構成理論を説明している文章を見つけられません。ただし養成講座テキストには「21世紀の労働者には、"変化の多い職業人生をいかに上手く乗り越えるか"..........キャリア構成理論は、この問に答えるために提唱されました」という、近いニュアンスの記述があり、最も適切なものを選ぶとするなら、この選択肢になると思います。


問30ー正答3【むずかしい】

カウンセリングの諸理論について、細かい知識が問われる難しい問題だと思います。
選択肢1〜内容はロジャーズの来談者中心療法っぽい(非常に分かりにくいが)。一方、養成講座テキストのオペラント条件付けによる行動療法の項から、スキナーの行動療法に関する記述ではないことが分かります。
選択肢2と4〜選択肢2の内容は問28で紹介したサイトからバーンの交流分析を想起させる(判断が難しい)、選択肢4の内容は養成講座テキストから認知療法の内容であると判断できる。
選択肢3〜養成講座テキストの内容から、論理療法の内容であると判断できる。



毎度のことながら20番台の問題はむずかしいですが第7回は特に難しく、このページを作るのにも非常に苦労しました。完全にモノに出来なくても、ある程度(=半分できる程度)でいいと思います。

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